2009-01-01から1ヶ月間の記事一覧
寒いねと言えど女は振り向かぬ人は死んでもきれいでいたい新井蜜の短歌日記
麦踏みに頬被りしてその人は寡黙であった田螺のように新井蜜の短歌日記
温順な振りしてみんな寒さにはがまんしきれず駆け出していく新井蜜の短歌日記
前後して訃報が届く雪の日にあなただけではどこにも行けぬ新井蜜の短歌日記
雪の日の洗濯物を取り込んだ後に祈った知らせを受けて新井蜜の短歌日記
耳鳴りと空調の音だけがするひとりでいたい夜もあるのだ新井蜜の短歌日記
薬剤部受付前に薄緑色の葉をしたゴムの木がある新井蜜の短歌日記
約束の時間が過ぎて立ち読みの詩集は徐々に重さ増しくる新井蜜の短歌日記
よみがえる東の空の朝焼けに髪の匂いとかすかな羽音新井蜜の短歌日記
退避した農家の庭の竹垣をやすやすと抜け目覚めてしまう新井蜜の短歌日記
振り向くと川音高くそれだけで感情みんな押し流されて新井蜜の短歌日記
ふんわりと熱く弾むは井村屋のあんまんときみの白きちちふさ新井蜜の短歌日記
ジュンク堂書店の椅子で今日もまたひらめきを待ち一日過ごす新井蜜の短歌日記